映画『コララインとボタンの魔女』 [映画]
ご無沙汰してます。
2ヶ月ずっとそのままで。訪問された方には失礼しましたー。
今年に入ってから、なかなかにヘビーな数ヶ月でしたんで・・
ま、状況はあまり変わらないけど、
少しは春らしく蠢動していきたいっすね。もぞもぞ。
まずこれまで観た映画評など。2ヶ月前・・すっかり遅くなっとる・・
(ネタバレありますので注意してください)
ずいぶん待たされて公開した、
ストップモーション・アニメの極地!
「ウォレスとグルミット」とは違った方向の作家性をビンビン感じます。
画面構成、色彩設計とも凝りまくり、「勉強になる」レベルをはるかに超え
もう大気圏離脱してるッ!
しかも3Dって、人形コマ撮りする場合ものすごく大変だろ!
なんたってキャラクターをアニメートする時、
カメラのレンズに映らない人形の陰に支持棒などをつけて撮影するのだけど、
“3D撮影”では左右の角度の違うカメラ2台で写す訳だから、
当然人形の後にできる死角もかなり小さくなってしまう。やりづれ~っ。
そして、劇中で何匹ものトビネズミ達が飛び跳ね、
シンクロ体操のショーを繰り広げるんだけど・・・
これ“コマ撮り人形アニメ”にチャレンジした事がある人には衝撃だと思うんだ。
空中に飛ぶキャラクターのアニメートし辛さを。
それが何十匹を一度に別々に飛び跳ねさせる!
しかも俯瞰視点の全体を見渡す画面から、そのまま切り替えずに。
(空中に飛んだところで、キャラをクローズアップした画面に切り替えちゃうのは
よくやる手だが(しかも演出上別に悪い訳ではない)、
だれもがそうするであろう、そうしたセオリーに流れず、踏み止まってやりきっている!)
まったく驚異のシーンです。それ以外にもスゴイシーンのツルベ打ち!
映像関係の世界に居る人目指してる人と、全ての子供は必見です。
(すっかりロードショー終わってから言うのもなんだけど、ソフトで観るのも良いよね。)
まあ一応、映画としてちょっと気になる点を、二つばかり。
※以下ネタバレ&減点箇所注意!
その二つは脚本ストーリーで、一つは・・
主人公コララインが家の壁穴を抜けて、もう一つの世界へ行く冒険譚なんですが、
3回(たしか)向こうの世界にいくのが、3回目ともなると、
こちら観客も慣れてきて冗長な印象を抱いてしまった。変わらず映像は素晴らしいのに。
―いかに子供ながらに対決を決意した主人公の盛り上がるべきシーンだとしても、
―さすがにいかにファンタスティックワールドといえど・・・。
これは私だけの感覚ではなく、ナナメ後の席の女の子二人連れもその辺りで小声で
「長いね・・」「ウン」とつぶやいてました。
もう一つはクライマックス、魔女の世界の崩壊の仕組みがいまいち良く解らないまま
ストーリーが突き進んでいってしまった事はちょっと残念だったかな。
おまけにもう一つ言うと、一番の問題が“吹替え”!
吹替え音声全般の出来が良くなかったぞ。
すごく平板でウチの古いTVの音声ボリュームをバリバリ大きくしてるみたいで、
平板で奥行きが無くウルサかったぞ!シネコンのハイレベル音響設備台無し。かなり残念。
3Dでの鑑賞した分、なおさら音声がペラく強調されたなあ・・
んもう!ちゃんと作れよ!去年の「スタートレック」「アバター」みたいに。
今回吹替え版しか上映無かったんだけど、
原版は音声の広がり立体感のあるものだったよ。丘の向こうから呼ぶバーサンの声とかね。
(前年放送のTVのショウビズでの紹介観て期待してたのに・・)
またまた声優に芸能人起用だったが、コラライン役の榮倉奈々は、
初めてのシロートなんだから仕方がないけど、・・ドヘタ。
お母さん/魔女役の戸田恵子がベテランの上手さでキャラになりきってるだけに
主人公のシロート&練習無しはきつかった。
だけど声質は良く意外とキャラと合ってました。将来に期待か。プロの指導で練習して!
劇団ひとりの猫はちょっと声作ってる感じがあったが、
しゃべりはまあまあギリギリ許せるラインでした。
と、いった減点要素はあるものの、作品としての素晴らしさはまごうことは無い。
最後に一言でまとめて言えば、
「コラライン」はヘンリー・セリック監督による、
ストップモーションアニメの金字塔である! と。
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