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『借りぐらしのアリエッティ』評・その1 [映画]

ヒネッテユート!ぼちぼちロードショーも収束に向いつつある映画ですので、
そろそろ辛口のでもいいだろうということで。いつになく長文です。

『借りぐらしのアリエッティ』
はじめに――〔番外編その1:デジタル上映でのなぞ
 今回はデジタル上映で観ました。昔『千と千尋』をスカラ座のDLP上映で観て
 そのクリアな観やすさにはビックリしたので。例えば風景を横パンする場面は
 どうしてもフィルムだとフリッカーが起こって画像がビビッてしまうのに
 ピターッときれいに観れたんです。いやー感動しました当時。
 しかし今回の『アリエッティ』デジタル上映(TOHOシネマズ西新井
 (回によりフィルムとDLP上映があり、DLP上映を選択鑑賞した))では
 庭を大きく横にパンする場面で、逆にフリッカーどころかビビリまくって
 ブレぼやけしちゃてるぞー。(全面ブラー)
 画面全体が突如ブワーッとぼかし状態。ひでー。(酷いのはそこだけだったが)
 なんだこりゃ?どういう事~?デジタル処理に問題あったのか?映写か?
 いきなり出鼻を挫かれたようだが、まあいい。置いとこう・・・

〔第1回〕

   アリエッティ11.jpg
   :なかなか可愛らしいアリエッティ

まず、全体の基本イメージとして――
小人の床下の暮らしを丁寧に怖さ楽しさを込めて描写しているのには、
実にワクワクさせられた。
主人公アリエッティもなかなか魅力あるキャラで良かった。
(主人公だけで他のキャラはイマイチでしたが)
人間の目を避けて人家で物資を調達し、見つかるとガラス瓶に入れられたりとか、
そのへんは昔のTVシリーズ『巨人の惑星』を彷彿と思い出させられた。
(知らない人も多いみたいだが、「猿の惑星」の猿を巨人に置き換えればOK。
というか宇宙飛行士が惑星に着陸したら、自分たちがアリエッティ・サイズだった。)
表面張力がちょっと誇張された一滴一杯のお茶とか、
クッキーを潰して粉にする食材作りとか、楽っしいー。
もっといろんな物事の描写を見ていたかった・・・。
どうやら、この辺がこの映画の肝ポイントなんざんすな!
(「うん、この価値を大きく認めて深くは語らない方がいいかもね。」(虚空からの声)
 だがことわる!)

《注意》
以下、激しくクライマックスとオチについてネタバレしてます!マイナス指摘もあり!
『アリエッティ』未見の方、超気に入っている方もご遠慮ください

しかしながら、エンドクレジット出て観終わって、
なんか欲求不満の気持ちで映画館を出る事になった。
まず感じたのは、“カタルシス(精神の開放)”と言える箇所が無かったな、と言う事。
宮崎アニメでは、必ず無理矢理にでも入れ込むその要素が、
今回『アリエッティ』では無かった。

 例えば『魔女の宅急便』を例にわかり易く表現してみると――
魔力が弱くなった魔女見習いキキは、空を飛べなくなり自信喪失してしまったが、
以前知り合った画家の卵ウルスラの森の中のアトリエに泊まって、語り合ううち、
焦ったり背伸びしたりしてきた自分を見つめ直し、心に落ち着きを取り戻した・・・

(その後)(まずアリエッティ的なストーリーラインで書いてみると)
:以前の町より小さな町に移ることになりましたが、
  だいぶ落ち着いてきました。(イマイチだった都会を忘れて。)
  一日一日少しずつ魔力を再び身に付ける修行をして、
  以前ほどではないけれど飛ぶ力が付いてきました。
  もうすぐ宅急便の仕事も再開できそうです。
  落ち込みましたけれど、私は元気です。
  と、言うエンディング。

どうです?リアリティと展開的にはナットクできますが、
なんともスカッとしない話の締め方ですね。
ここはやはり、

(その後)(本来の魔女宅ストーリー)
:唐突に突風が吹いたため、たまたま飛行船を見学中のボーイフレンド、
  トンボが絶体絶命に。助けられるのは飛行能力がある(はず)の私しかいない!
  四の五の言わずに飛ぶんだ!飛べた!大変だったが地上へ落下するトンボを
  激突前に捕まえることが出来た!禍転じて福となす!
  火事場の馬鹿力で飛行能力も戻ったし、ギクシャクしてた対人関係も
  一躍人気者になった事で少しやり易くなった。
  ま、落ち込む事もあるけれど、私は元気です。

と、宮崎アニメに付き物の唐突なクライマックス展開ですが、
公開時このパターンを観せられて、私ら観客はやっぱりスカッとしました。
それまで周到に丁寧に積み上げられた描写(その世界観と生活描写で)によって、
主人公たちのキャラクターは、観客の心中に大きく形作られていきます。
それはその存在感があればあるほど、塊りのように重くもなってきます・・
それを消化というか昇華してくれるクライマックスの事件があればこそ、
宮崎アニメはこれまで評価されてきた一面もあると言えます。
“ハジケル時
今回の『アリエッティ』にはそれがありませんな。

この『アリエッティ』は、耳をすませば』と同じように、監督はせずとも、
宮崎駿が脚本絵コンテ(全編各シーンにわたるラフな絵のアニメ指定)
作ったというので、ストーリーの責任は宮崎にあるんでしょうが、
ちょっと、かなり、スッキリしない
更に人間側の描写がイマイチな点がいくつかあり、
今回ばかりは、ちょっと推敲すべきだったと思わざるを得ない。

―第2回に続く

すんません、何回かに分けます。(全3回+α くらいかな)
んじゃ、ヒネッテユート!


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